多重露光で撮影したことはありますか?
撮影したことのない人が大半だと思います。
写真表現としては特殊ですが、普通では表現できない世界観は魅力的です。
多重露光とは
1コマの中に複数の画像を重ね、写し込むことを多重露光と言います。
複数の画像の露出・構図の作り方によって、様々な表現ができます。
フィルムカメラでもデジタルカメラでも機能が搭載されていれば多重露光することが可能です。
カサねる?ブラす?
多重露光には、全く違う写真をカサねる表現と構図を少しだけズラしてブレた表現を狙うものがあります。
カサねる
全く、違う構図の写真で多重露光をすることで写真をカサねていきます。
テキトーに重ねても、よくわからない写真になってしまうので、主題を決めます。
例えば、主題を空だとします。
空をどう表現するかを考えて、カサねる写真の構図を決めていくわけです。
【作例】
「さくらダーク」
この2枚の写真の主題は「桜」です。
ボクは桜を使って、キレイなものにも影があるということを表現しようと考えました。
そこで、桜の写真に暗い写真をカサねることに
ただの暗い写真ではメリハリがでないし、影を強調したかったので明るい部分もある写真にすることにしました。
という、流れで完成したのが、この組写真です。
花って、美しいけど生々しいところもありますよね。
そんな、生々しさや影の部分をうまく表現できたのではと思います。
ブラす
同じ構図の写真を少しズラして、撮影することによってブラします。
ブラすことにより、不思議な感じや幻想感を出すことができます。
背景とメインがしっかりと分離できている構図の方が、自分のイメージに合わせやすいと思います。
例えば、空が背景で花がメインとします。
そして、ズラすことによりメインの花が幻想的に表現されます。
ポイントはズラす量です。
ズラしすぎると、よくわからなくなってしまうので少しだけズラすようにします。
【作例】
ブラす表現は特にイメージが湧かなかったので花を撮ってみました。
特に何か言えるような写真ではありませんが、オーソドックスなブラす写真は撮れているのではないでしょうか。
ブラす写真はソフターやクロスフィルターなどのフィルター効果を使ったような印象ですね。
多重露光するときのカメラ設定
ボクがキヤノンのカメラを使っているので、キヤノンで説明します。
デジタルカメラなら、ほぼ同じだと思います。
カメラのメニューから多重露光を選びます
メニューの多重露光を選択すると設定画面になります
メニューの説明をします。
多重露出撮影:「する」を選ぶことで多重露出撮影モードになります。
多重露出制御:重ねる画像の露出をどのように計算するかを選びます。
重ねる枚数:多重露出で何枚の画像を重ねるかを選びます。
撮影画像の保存:多重露出の元になる画像を保存するかを選びます。
多重露出撮影の継続:1回で終了するのか、メニューで「しない」を選択するまで多重露出を継続するかを選びます。
多重露出制御を選ぶ
多重露出の場合、重ねる画像の露出をどうするかによって、大きく結果が変わるので細かく説明します。
加算
撮影した画像の露出を加算して重ね合わせます。
そのため、このモードでは重ねる枚数に応じて、マイナス補正を行う必要があります。
露出補正量は「2枚:-1段」「3枚:-1.5段」「4枚:-2段」を目安にします。
加算平均
自動的にマイナス補正をかけてくれます。
そのため、簡単に多重露出の写真が撮影できます。
慣れるまでは、このモードをオススメします。
ただ、1枚ごとに露出量を変えれないので、メインの画像と背景の画像の見せ方をコントロールしたい場合は「加算」を選択してください。
比較(明)
画像の同じ位置の明るさを比較して、明るい部分が残ります。
重ねる色によっては、明るさの割合に応じて、色が混ざり合うことがあります。
比較(暗)
画像の同じ位置の明るさを比較して、暗い部分が残ります。
重ねる色によっては、暗さの割合に応じて、色が混ざり合うことがあります
おわりに
多重露出をすることによって、今までとは違う世界観を表現できるようになります。
ただ、個人的には多重露出というのは表現の手段であって、多重露出ありきになるのは好ましくないと思います。
しかし、自分の世界観が多重露出で表現できるというのであれば、とことん突き詰めていくべきです。
多重露出の写真を撮ってみて、わかったことはボクの世界観は暗いということです。
ついつい、感情の裏側・悲しさ・寂しさという、ダークな表現にベクトルが向いてしまいます。
もともと、わかってはいましたが、はっきりと再認識しました。
みなさんも多重露出でナチュラルな自分をさらけ出してみてください。
流行りの写真のテイストに流されて、自分の表現したい写真を見失っていたとしても、取り戻すことができるはずです。