ホココス2018に行ってきました。
天気予報では涼しくなると言っていましたが、かなり暑かったです。
コスしていた人は大変だったと思います。
レイヤーのみなさん、本当にお疲れ様でした。
今回、コスプレイベントの話をしますが、コスプレイベントに行くのは2回目というコスプレイベント初心者なんです。
そんなキャリアのぼくが、コスプレイベント撮影の話をしていこうと思います。
コスプレイベント撮影の最初のイメージは特別っぽいルールもありそうだし、初心者にはなかなかハードルが高そうだなと思ってました。
でも、広告カメラマンのぼくが場違いなハードルの高いコスプレイベントの撮影に行こうと決めたのでしょうか?
広告カメラマンがコスプレイベントで撮影する理由
広告カメラマンは司令塔みたいな役割なんですよね。
例えばクライアントやアートディレクターがいたとしても撮影に関することは全てカメラマンの責任です。
そして、スタイリスト、ヘアメーク、カメラアシスタント、モデルに指示をしながら撮影を進めます。
常に現場の中心にいて、自分の意見を伝えて表現していくことがカメラマンの仕事です。
そんな自分中心での撮影になれていた、ぼくは違う環境で撮影してみたいなと思っていました。
そんな時、たまたま隣のデスクに座っている女の子がレイヤーという運命の出会い。
その子にコスプレについて話を聞いているとレイヤーさんを撮影することに興味が出てきました。
そこで屋外イベントの撮影にチャレンジしてみることにしました。
初めてのコスプレイベントのコスサミ撮影にあたって用意した機材はCanon EOS-5DsRと単焦点の85mm。
クリップオンストロボすら持って行きませんでした。
なぜなら、できるだけ不自由な状態で撮影をすることが今回のノルマ。
そんな気軽な機材で会場に到着すると既にレイヤーさん達とカメラマン達のすごい熱気。
コスサミが8月開催というのもあるかもしれませんが、本当にすごい熱気を感じました。
全く、ルールも撮影方法もわからないぼくがオアシス21の銀河の広場を見下ろした時、熱気とともに圧倒的なアウェイ感を感じました。
この感覚がぼくが追い求めていた撮影環境でした。
ぼくが好きな写真の撮り方
最初に驚いたのはレイヤーさんの前にカメラマンが一列に並んで待っていることです。
イベント慣れしている人は当たり前だと感じるかもしれないですが、ぼくにとっては衝撃的な風景でした。
ベルトコンベアのように次々と撮影してはカメラマンが変わっていく。
何て例えたらいいかわからないくらい、不思議な感情を抱きました。
レイヤーさんがメインなのに、ぼくはカメラマン達に見入っていました。
そして、並んでいるカメラマンたちの撮り方は千差万別でとても興味深いものでした。
クリップオンストロボにめちゃでかいボックスをつけている人やカメラからストロボを離して片手でストロボ、片手でボディという荒技で撮影している人。
そうかと思えばストラップを左親指にかけてピンピンに張って、カメラを片手で持って撮影している人。
何の意味があるんだろう??
しばらく考えてみましたが、これは技術的なもんじゃないなと気づきました。
これは様式美の世界だ。
だから、もうそれ以上は理由を考える事をやめました。
そんなカメラマン達に中でも特に気になった人がいました。
その人はレイヤーさんの前に並んだカメラマンの列の中でひとり、カメラを持たずにいました。
これは何だ?
何が起こるんだろう。
興味津々でみていると、順番が回ってきた時、何とその人はガラケーをポケットから取り出しました。
マジかー
周りのカメラマン達は失笑しています。
ちょっと露骨すぎるくらいの反応にイラっとせずにはいられないくらいです。
でもガラケーで撮り始めた時、この男性の雰囲気にハッとしました。
優しさが溢れすぎてる・・・・
撮るスピードも眼差しもシャッター音も全て優しい。
これは凄いなー。
レイヤーさんの表情もいいよ。
この撮り方は最高だな。
失笑しているカメラマンども、写真は機材じゃねーぞ。
笑っている暇があったら、この人の撮り方を見習えよ。
でも一生わからないだろうなとかブラックな事を思いながら、その風景を見ていました。
シンプルな撮影で臨んだ結果
レイヤーさんが立っている場所で撮影するというのがルール。
背景もヒカリも選べないという厳しい状況ですよね。
背景には人や余分な物が写るから、いいアングルが選べない。
これじゃあ、腕の見せ所がないじゃん!
これは難しいな。
実際にファインダーをのぞくと、さらにその思いは強くなりました。
途中でレイヤーさんの表情だけで表現しよう。
そうは思っては見たものの・・・・
表情を引き出すところまで行かないんですよね。
ぼくは並んでいる大勢のカメラマンの中の一人でよく分からない人。
フォトグラファーがこんなところで並んでいるわけないから、フォトグラファーとも気づいてくれないよなー。
そんな状況で距離感を詰めようとしたら怪しまれるよね。
それにひきかえ、仕事の時はフォトグラファーとしてのぼくをモデルが受け入れてくれて、さらにぼくの表現に一生懸命、答えてくれようとする。
やっぱり、いつも恵まれているよな。
撮った写真をプレビューで見ながら、そんな事を考えていました。
でもそれが無い状況で撮影するために来たのだから、何か違うアプローチで自分の表現をしていこう。
そう思い、次のレイヤーさんの列に並びました。
フォトグラファーレベル、アップしました!
何人かのレイヤーさんを撮るうちにあることに気づきました。
ポーズに迷いが出てくると自然な表情がでる。
あーこれだね。
迷いが出るような撮影をしていき、迷いが出た瞬間、一気にぼくの間合いまで詰める。
そうすると欲しい表情が撮れることに気付きました。
そして同時にシャッターのリズムとテンポをスイッチしていくと、さらに表情に感情がのってくる。
この辺はモデルと一緒です。
そのアプローチ方法に気づいた時はドラクエのレベルが上がる時の音が聞こえました。
フォトグラファーレベルが上がりました。
この感覚は久しぶりの感覚です。
再び、ホココスに行った訳
約1年ぶりのコスプレイベント、ホココスに行ってきました。
なぜかって?
それはイベントの臨場感、アウェイ感の中での撮影は、ぼくにとって筋トレみたいなもんだからです。
撮影の瞬発力を鍛えるには最高の環境です。
思い通りにならない中で、どんなアプローチを用いて撮っていけばいいかを短時間で考え続けることは、とても良いトレーニングになります。
そしてレイヤーさんもそれぞれ個性や世界観があるので、撮影するたびにいろいろな気づきがあります。
表現には限りない事を再認識することができて、とても楽しいですね。
その事を例えると天井がどんどん上がっていく感じかな。
撮れば撮るほど、世界が広がっていきます。
そんな経験はなかなかできません。
だから、これからもイベントで撮影します。
名古屋での大きなイベントはホココスが春と秋、コスサミが夏にあるのでこの3つはトレーニングとして必ず行くつもりです。
ぼくとレイヤーさんの感覚の違い
休憩中のスタバで、撮ってもらった写真について、レイヤーさんが感想を話していました。
チラッと見えた、その写真はあまり良い写真ではありませんでした。
でも、色が飽和していることがレイヤーさんは気に入っているようです。
それを見て、レイヤーさんが欲しい写真と、ぼくが撮りたい写真には乖離があるんじゃ無いかと思い始めました。
ぼくのように内面とか表情とかが伝わるものではなくて、派手な写真やドラマチックな写真が好まれるようです。
でもぼくが欲しいのは、伝わる写真なんです。
そこがぼくのオリジナリティーなんですよ。
ぼくの写真はレイヤーさんにとって、良い写真ではないなと気づきました。
できれば、レイヤーさんが気にいる写真を撮ってあげたい。
だけど、コスプレイベントだと撮影時間が無いです。
迷いましたが、ぼくは自分の写真を撮るということに決めました。
レイヤーさんが好みそうな写真を撮る人はたくさんいるはず。
だから、こんな写真を撮るカメラマンがいても面白いかな。
そんな写真なのでレイヤーさんが望まなければ写真を渡す事をやめようと決めました。
いつか、ぼくの写真を見て、レイヤーさんに撮って欲しいって言われるようになったら良いなと思います。
その為にイベントだけでなくて個撮で作品性の高いコス写真をどんどん撮っていきます!