「Art」はシグマが最高水準の光学性能で芸術的表現を叶えるアーティスティック・ライン。
そのアーティスティック・ラインに「28mm F1.4 DG HSM Art」が追加されました。
これで「Art」のF1.4クラスの単焦点レンズが20mm、24mm、28mm、35mm、40mm、50mm、85mm、105mmというラインナップ。
そのラインナップからはシグマの並々ならない、こだわりを感じずにはいられません。
「28mm」の意味
28mmというと昔から使われてきた焦点距離。
人がいない風景などに適しています。
風景を撮影しようとすると24mmでは広角すぎて、伝えたいものがボヤけてしまう。
35mmだと近すぎる。
そんな時、「やっぱり28mmじゃないとね」となります。
「F1.4」のスゴさ
広角レンズで大きなボケ量を得ることは、ほぼ不可能です。
唯一、近接で撮影すればボカすことはできますが、限度があります。
「28mm F1.4 DG HSM Art」は開放値がF1.4ということで、広角レンズのボケ量の限度を越えています。
被写界深度の浅さから広角レンズでも、立体感を強調した撮影や美しいボケ味を活かした撮影が可能。
今までは不可能だった表現ができるようになったわけです。
仕様
レンズ構成枚数 | 12群17枚 |
画角(35mm判) | 75.4° |
絞り羽根枚数 | 9枚 (円形絞り) |
最小絞り | F16 |
最短撮影距離 | 28cm |
最大撮影倍率 | 1:5.4 |
フィルターサイズ | φ77mm |
最大径 × 長さ | φ82.8mm×107.7mm |
質量 | 865g |
12群17枚というレンズ構成は「Art」レンズの中で最も複雑。
非球面レンズを3枚も使用しており、描写力に期待がもてます。
最短撮影距離が28cmですので、背景を大きくボカした撮影も簡単にできそうです。
重量は重い部類になるかもしれませんが、このスペックであれば当然だと思います。
F1.4クラスになってくると開放値で撮影した場合、周辺光量の落ち具合が顕著に。
特に28mmは広角なので、周辺光量の落ちが気になる場合があります。
その時は開放から2段ほど絞ると、かなり改善されます。
「SIGMA 28mm F1.4 DG HSM Art」vs「ZEISS Otus 1.4/28」
なんと、世界最高の広角レンズ「ZEISS Otus 1.4/28」と同じスペックです。
価格も世界最高の広角レンズですが、仕様的に違いがあるのか比べてみました。
SIGMA 28mm F1.4 |
ZEISS Otus 1.4/28 |
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レンズ構成枚数 | 12群17枚 | 13群16枚 |
画角(35mm判) | 75.4° | 75° |
最小絞り | F16 | F16 |
最短撮影距離 | 28cm | 30cm |
最大撮影倍率 | 1:5.4 | 1:5.5 |
オートフォーカス | ◯ | NONE |
フィルターサイズ | φ77mm | φ95mm |
最大径 × 長さ | 82.8mm×107.7mm | 109mm×137mm |
質量 | 865g | 1390g |
希望小売価格(税別) | 160,000 円 | 550,000 円(実売価格) |
同じようなスペックです。
価格と重さの違いは圧倒的ですね。
価格は1/3以下、重さは半分近くと同じスペックのレンズとは思えませんが描写力に違いはあるのでしょうか。
ぼくが感じた描写力の違い。
28mmではありませんが「Otus」を使った時の印象は収差の少ない、階調が豊かなレンズでした。
「28mm F1.4 DG HSM Art」は資料画像を見ただけですが、「Otus」よりフラットな印象を受けました。
ぼくの好みは「Otus」の画作りです。
ただ、「28mm F1.4 DG HSM Art」の素直な画作りが、好きな人も多いのではないでしょうか。
使う上で一番の違いはオートフォーカスです。
「Otus」はオートフォーカスを搭載していません。
広角レンズをマニュアルフォーカスで合わせるのは難易度が高くなります。
開放値近くなら、なおさらですね。
まとめ
結論としては、総合的に考えて「28mm F1.4 DG HSM Art」がおススメ。
この価格で、これだけの描写力が得られることに驚きです。
シグマの開発力と写真愛に頭が下がります。